元Honda Bank GmbH 代表取締役社長

横浜商科大学 非常勤講師

中小企業診断士

小林 正光様

———小林正光様(以下、小林様)は本田技研工業株式会社に長年勤務され、その中で海外駐在を20年以上経験いたしました。退職後はMBAと中小企業診断士を取得し、現在は海外駐在での経験と中小企業診断士の知識を活かし、コンサルタントの仕事や大学非常勤講師として活躍されています。

本日は小林様が海外駐在経験で学んだ異文化交流での重要性や、従業員同士が相互理解を図る上で重要なポイントをお伺いしました。

【相手のことを理解する上で重要なこと】

駐在員時代の経験

 海外駐在を22年しており、最後の駐在地のドイツでは現地法人を6年間やっていました。駐在の最初は文化の違いに驚くことが多かったです。例えばドイツ人5人と私1人で会議を10時からセッティングしたとして、私は日本の常識で10分前5分前に会議室に行くんですけど、誰もいないわけですよ。で10時ぴったりにドイツ人5人がみんな入ってくるんです。彼らも時間には非常にパンクチュアルです。正確なんですね。だけど5分前10分前に来るっていう日本の常識とはちょっと違う。そういった細かな違いはものすごく感じました。

相手を尊重することの重要性

 先ほどの例で言うと、ある時、彼らに話をしてみたんです。「みんな10時ぴったりに来るけれども、日本人は5分前10分前に来るんだよ、理由はこういう理由だから」という話をしたら、次の会議から彼らはしっかりと5分前に来たんですよね。そこで、相手の文化を尊重しようという思いは、彼らにもあって、その土台の上でしっかりとお互いのことを理解することが重要なんだと思うようになりました。

異文化の方との交流で重要なこと

 先ほどの経験から相手の行動発言、これに少しでも違和感を感じたらしっかりと伝えるように意識しました。「あなたが今言ったことは日本人にはとても違和感がある。どうしてそういうこと言うんですか?」と。そうすると相手はなんで日本人を納得できないんだという、お互いのこのコミュニケーションから相手の価値観を理解し合えるようになっていきます。

 文化というのは、カルチュラルアイスバーグって呼ばれて氷山みたいな水面上に出てくる発言行動とその水面下にある目に見えない文化、つまり宗教とか価値観とかに分けられます。そういった目に見えない文化から目に見えるものが現れてくるので、目に見える違和感を感じたらその下にある、水面下にある価値観、文化習慣、宗教こういったことを聞き出そうとする。それによって、なるほど、こういう価値観だから、こういう発言するんだなという理解ができる。これが非常に重要なんだと思います。

日本で働く上で重要なこと

 実は文化の違いっていうのは、日本と外国の間だけではなくて、会社が違えば文化が違うし、家庭が違えば文化が違う。極端に言うと、人間一人と一人はもう文化が違うっていうことになるわけで。つまり、日本で働いている時にも文化の違いっていうのは毎日遭遇しているわけなんですね。

 なので、相手の発言行動を聞いたときにこれ自分と違うなと思っても、それ違うだろうと否定から入らないことが重要だと思います。あ、なるほど君はそういうふうに考えてるんだね、と一旦それを受け止めが非常に重要ですね。

———株式会社サーカスの開発した沿革ゲームについて、お聞かせいただいた現状の課題にどう寄与するかについて見解を伺いました。

【歴史を学ぶ重要性と社史との違い】

 とても画期的な商品だと思いますね。まずよく会社が社史を作るんですよ。すごく分厚くて表紙が硬くて中身も硬い。これ若い人読まないですよ。自分も読まなかった。なのでこういうツールで会社の歴史を理解してもらうっていうのは、今の若い人たちにはとても効果的だと思います。

じゃあなんで会社の歴史を知らなきゃいけないかっていうと、さきほど文化の話しをしましたけれど、若い人たちが上司のことを理解するのって難しいと思うんですよね。なぜなら上司がその会社で見てきたことが理解できないから。なので、歴史を知って「あ、こういったことがあったから、この上司はこんなこと言っているんだな」と相手のことを理解する手助けになります。自分が働く会社を理解し、年配のことも理解できる素晴らしいツールだと思います。

———小林様には、文化の違いがある中で相手を理解するために必要なことを伺いました。組織を活性化には、相互理解が非常に重要であり、小林様の経験から得られたアプローチは、組織開発を行う上で非常に重要な要素となります。

沿革ゲームはその課題解決の1つのツールとして寄与できるものとご見解をいただき、弊社としても様々な企業様の成長に寄与できればと考えております。