教育においてボードゲームを活用することは、従来の学習方法に新たな視点を提供し、学習者のモチベーションを高める効果があります。しかし、ゲームに教育コンテンツを適当に組み込むだけでは、学習者が楽しむだけで実際のスキルや知識を習得することは難しいです。ここでは、教育ゲームの評価と設計において効果的なフレームワークであるRETAINモデルを紹介します。

RETAINモデルとは?

RETAINモデルは、教育ゲームがどれだけ効果的に学習内容をゲームのファンタジーやストーリーコンテキストに組み込み、知識の移転を促進し、反復使用を奨励するかを評価するために開発されました。このモデルは以下の要素から構成されています。

  1. Relevance(関連性):
    • 学習者にとってのゲームのテーマやストーリーがどれだけ興味深く、教育内容と関連しているかを評価します。例えば、ゲーム内のキャラクターやシナリオが学習者の日常生活や興味にどれだけ結びついているかが重要です。
  2. Embedding(組み込み):
    • 教育内容がゲームのファンタジーやストーリーにどれだけ自然に組み込まれているかを評価します。学習内容が外部から強制的に追加されたものではなく、ゲームプレイの一部として統合されていることが理想です。
  3. Transfer(転移):
    • 学習者がゲーム内で習得した知識やスキルを、他の文脈や状況に応用できるかを評価します。これは、学習内容が単なる暗記ではなく、実際の問題解決に役立つことを示します。
  4. Adaptation(適応):
    • ゲームが学習者の既存の知識やスキルに基づいて新しい情報をどれだけうまく導入できるかを評価します。新しい情報が既存のスキーマにどれだけ適応しやすいかが重要です。
  5. Immersion(没入):
    • ゲームがどれだけ学習者を引き込み、集中させることができるかを評価します。これは、ゲームのストーリーやファンタジーがどれだけ魅力的であるか、そして学習者がその世界にどれだけ没頭できるかによります。
  6. Naturalization(自然化):
    • 学習者がゲーム内で習得した知識やスキルを自然に、そして無意識のうちに使えるようになるかを評価します。これは、反復練習や適切なフィードバックによって達成されます。

RETAINモデルの重要性

教育ゲームの設計においてRETAINモデルを使用することで、以下のような利点があります。

  • 効果的な学習: 学習者が単にゲームを楽しむだけでなく、実際の知識やスキルを習得することができます。
  • 持続的なモチベーション: ゲームのストーリーやファンタジーが学習者の興味を引き続けることで、学習意欲が持続します。
  • 深い理解: 学習内容がゲームプレイに組み込まれているため、学習者は深い理解を得ることができます。

株式会社サーカスのボードゲーム研修

弊社では、このRETAINモデルを基に、研修用ボードゲームを開発しています。
しかし、これらが分かっていたうえでも開発する上での難しさは当然はあります。
例えばやはり研修用ゲームですので学習内容の定着や現実の仕事への適応を考えてしまいます。そうなるとRelevance(関連性)Embedding(組み込み)Adaptation(適応)に偏ってしまった設計が行われることになります。しかしながら、そのようなゲームは参加者からするとただの「仕事」や「作業」をやらされているゲームとなってしまいます。
やはり理想はRETAINのバランスがとれたものを目指します。ゲームをやっているようで、必要知識や考え方がプレイに組み込まれ、現実業務の行動に自然と適応されるようなゲーム開発を心がけています。

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