ワクワク感について
「仕事にワクワクしたい」「ワクワク働いてほしい」などといった課題は多くの方が持っているものだと思います。しかし、この「ワクワク感」はどのように生まれるのか、どのような要素によって構成されるのかを意識している人は少ないです。本記事では、研究で明らかにされた「仕事におけるワクワク感因子」を構成する5つの要素について解説し、それぞれが職場に与える具体的な影響を探ります。
なおこの記事は、[井上,保井,前野 2020 仕事におけるワクワク感に関する研究]を元に記載しています。
仕事におけるワクワク感因子について
「仕事におけるワクワク感因子」とは、従業員が職場で感じる「ワクワク感」を構成する要素を指します。この職場で感じるワクワク感は、以下の5つの具体的な要素から成り立っています。
リラックスとご褒美
適切な休息と、努力に対して正当に報われるという実感がワクワク感の土台を作るとされています。人間は休息を通じて疲労を回復し、さらに新しいことへ挑戦するエネルギーを蓄えます。また、報酬は「自分の努力が認められている」という満足感を生み、さらなるモチベーションを引き出します。
具体例: 柔軟な勤務時間や「リフレッシュ休暇」の導入、目標達成に応じたインセンティブ(例: 小さな報酬や社内表彰制度)が効果的であるとされています。
五感的こだわり
職場環境が視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚といった五感に心地よい刺激を与えることで、従業員の創造性や集中力が高まります。私はあまり意識していませんでしたが、香りや音、社内の見た目などはワクワク感に良い影響を与えます。
ある研究では、観葉植物や自然光を取り入れたオフィス環境が、従業員のストレスを30%以上軽減し、生産性を向上させたことが示されています。また、アロマディフューザーの香りや心地よいBGMが、集中力や満足度を高める要因となることも分かっています。
仕事への傾注
自分の仕事に没頭し、充実感を得る状態が「仕事への傾注」です。具体的には、「やりたかったことが実現できそう」「仕事中に時間を区切り、仕事モードのスイッチを入れる」などが該当します。この状態では、外部のストレスを忘れ、目の前の仕事に集中できるため、成果が最大化されます。
未知への挑戦
新しいことに挑む機会が、従業員の成長意欲を引き出します。これには、好奇心や新しいスキルを学びたいという欲求が関わっています。「不確実で曖昧なものに取り組む」「新たな領域に挑戦する」などが該当します。
達成と自己効力
目標を達成したときの達成感と、「自分にはできる」という自己効力感が、次のワクワク感を生み出します。
具体的には、短期目標を設定し、それを達成するたびにフィードバックを行うことで、達成感と自己効力感を強化する方法があります。
結論
「仕事におけるワクワク感因子」は、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高める上で不可欠な要素です。これらの因子を意識的に取り入れることで、職場環境を改善し、従業員の満足度を高めることができます。次回は、これらの因子を活用した「ワクワク感循環モデル」について解説します。