弊社はボードゲームを活用した研修会社として事業を行っています。
しかし研修用ゲームというのは単に面白ければよいというわけでなく、抑えなければいけないポイントがたくさんあります。今回は一部をご紹介したいと思います。

設計の難しさ

ゲーム時間

ボードゲーム研修の中には1日がかり、場合によっては二日間にわたって行うような研修ゲームもあります。(例:MGゲーム等)。逆に1~2時間で終わるようなゲームもあります。
 どちらがいいのかは一長一短ありますが、1日2日がかりで行うようなゲームの場合はゲーム自体で学びや振り返りも含めて完結している必要があります。1~2時間で行うようなゲームの場合はゲームではコアコンセプトのみを学び周辺知識は講義や振り返りなどで補足することになります。
 弊社のボードゲーム研修ではゲーム時間は1~2時間で設定しており、講義や振り返りで知識を補うように設計しています。必要に応じて知識を補った後に再びゲームを行うことで深い学びにつながるものと考えています。

ゲームに入れ込むテーマ

ゲームで仕事で必要なすべてを学ぼうとし、すべての内容を詰め込んだとしたらそれはもうゲームではなくただの仕事のシミュレーションであると弊社は考えています。
 そもそもボードゲームで学ぶことの長所としては、実際の仕事ではPDCAの成長サイクルが回るのに多大な時間がかかるところを、ゲームで疑似的に短いサイクルで「知識習得」「実践」「振り返り」「改善」が学べるところにあると考えております。それに対しゲームにテーマを詰め込みすぎて仕事におけるすべての内容を入れてしまったら、学びのポイントが定まらないのに加えゲームが壮大なものとなり元々の長所である短いサイクルのPDCAが回らなくなってしまうと考えております。
 我々もプロジェクトマネジャーやビジネスアナリストの専門家として詰め込みたいテーマはたくさんあるのですが、ゲームで学ぶポイントを絞って「削る作業」に苦労しております。

学習内容

ゲームで学ぶ内容が単に教科書通りの内容が登場するのであるならば、恐らく教科書の方が学習効率が良いです。
日本における茶道や武道の成長プロセスの考え方として「守・破・離」という言葉があります。ここでは端折りますが、「守」の段階はいわゆる教科書通りに師の教えを守ること。「破」の段階では実践をすることで教科書通りにいかない部分を自分なりにカスタマイズして身に着けること。「離」の段階では自己のスタイルを確立し、新たなスタイルとして確立すること、となります。ボードゲーム研修に向いているのは「守」から「破」の段階を埋めるものであり、実践的である必要があると考えます。
 前の項目でも述べましたがボードゲームの長所は疑似的に実践を行い短いPDCAサイクルを回すことにあると考えております。そうなるとゲームに学べる内容は教科書通りのことを覚えさせる内容ではなく、実務に詳しい専門家が設計した実際のケースの場合に何を考えべきか、等が考慮された学習内容である必要があると考えます。

デザイン

 研修用ボードゲームにおいては、研修が主眼であるのでデザインは二の次であるという考えもあるかと思います。ただし一言「デザインの良さ」といっても色々な意味が含まれます。単純な絵のきれいさ、リッチさなどもデザインと呼ばれますが、UX(ユーザーエクスペリエンス)の良さも「デザインの良さ」の内です。
 例えば単純に〇や□で構成されたパーツでは記憶には残りにくく、そういう意味で研修のUXを低下させています。記憶にとどめてほしい項目に特徴的なアクションやキャラクター等が強調されたデザインで構成された場合は学びの効果としても有効に働くものと考えます。
 弊社でもデザインは重視しておりますが、あくまで研修を効果的にすることが目的です。単に見た目をきれいにしたいという本末転倒にならないように努力しております。

まとめ

これらはほんの一部となり、他にも意識しなくてはいけないことはたくさんあります。弊社でも日々試行錯誤しながらより良いものを作っていけるよう邁進してまいります。