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心理的安全性の重要要素であるオープンコミュニケーション
チームの成功にとって心理的安全性について非常に着目されています。心理的安全性を形成する要素として最も重要視されているのが「オープンコミュニケーション」です。この記事ではオープンコミュニケーションについての解説と、オープンコミュニケーションを醸成する方法について解説します。
オープンコミュニケーションとは
オープンコミュニケーションとは、情報、考え、感情がチームメンバー間で自由かつ正直に交換されるコミュニケーションの状態を指します。
よく勘違いされるのが心理的安全性が高いチームとは「喧嘩がないチーム」のことを指す・・・のではなく「言いたいことを言い合えるチーム」が達成された状態が「心理的安全性が高いチーム」であり、その土台となるのが「オープンコミュニケーション」となります。
特に日本人である我々はその傾向が強いと思いますが、円滑に物事を進めるために反対意見を差し控えたり、表面上の仲の良さを保つために指摘をしあえないチームとは正反対の状態となります。
オープンコミュニケーションが不足している状態
オープンコミュニケーションが不足しているチームでは、いくつかの兆候が見られます。例えば:
- 情報の隠蔽や歪曲: メンバーが情報を共有しない、あるいは真実を隠すことで、不信感が生まれ、チームワークが崩壊します。
- 不満の蓄積: 意見や懸念が開かれた環境で表現されない場合、フラストレーションが溜まり、最終的にはチームの士気に悪影響を及ぼします。
- 意思決定の遅延: 重要な情報が共有されないことで、効果的な意思決定が妨げられ、プロジェクトの遅延や失敗につながる可能性があります。
オープンコミュニケーションが実現された状態
一方で、オープンコミュニケーションがうまく実施されているチームでは:
- 透明性のある情報共有:
メンバーが自信を持って情報を共有し、チーム全体の知識と理解が深まります。 - 積極的なフィードバックの文化: ポジティブなフィードバックと建設的な批判が奨励され、継続的な改善と成長が促進されます。
- 高いチームの結束力: 信頼と相互尊重に基づく関係が築かれ、チームとしての一体感が強まります。
オープンコミュニケーションの実現へ向けたステップ
オープンコミュニケーションは、チームが共に成長し、目標を達成するための基盤となります。これを実現するためには、単に「オープンなコミュニケーションをしましょう」という声掛けで実現できるものではなく、リーダーの意識的な場づくりや機会の用意などの努力や、チーム全体が参加するための仕掛け必要です。
- 信頼関係の構築
リーダーが率先して透明性を示し、信頼関係の基盤を築きます- 目標の共有
メンバーがそれぞれ与えられた作業をこなせば良い、という意識ではなくチーム全体として高いパフォーマンスを出すためにはそれぞれどうすればよいかをチームで共有します。
全員が同じ作業をするべき、という意味ではなく、結果的に作業が割り振るのは問題ありません。その際にチームがパフォーマンスを出すためにそれぞれがどういう作業をすべきかをメンバーに共有 / 考えさせます。 - 主体性・当事者意識の醸成
リーダーは指示を出し、メンバーはその通りに動くという意識ではなく。メンバーが主体でありリーダーはそのサポートであるという意識を持たせます(サーバントリーダーシップなど)。議論の際にリーダーが主導するのではなくメンバーに主導させ、リーダーはファシリテートに回ります。
- 目標の共有
- 安全な環境の提供
メンバーが意見を気兼ねなく言い合える環境を作ります。- チーム全体で動いているという意識
基本的に人は自分への責任や仕事が増えることに対して防御的な意見を出しがちです。意見を出した際にメンバ―間の利害の不一致が発生し、いわば押し付け合いの状況になりがちです。リーダーはそれを織り込んだ上で、利害関係をメンバ個々からチーム全体で一致させるような透明性と公平性をメンバと共有する必要があります。 - 意見や指摘をしあうことについての文化醸成=「慣れ」
タックマンモデルという理論によるとチームがパフォーマンスを出すに至るまでには4段階があり、2段階目として「混乱期」があります。これはチーム結成されてから意見や衝突が出始める時期となり「混乱」を迎える時期となります。「混乱」自体はいい状態とは言えませんが、「意見や衝突が出る」状態というのはチームが成長するにあたっては必要な状態となります。
それを促進するためには場づくりが重要であり、定例会議や協働作業の機会を設け、コミュニケーションや意見・指摘を出し合うことに慣れます。目の前の業務についてについての会議だと意見も定型的で属人的なものになりがちなので、可能ならばチームの課題や改善等についてのディスカッション等のメンバ全体がステークホルダであるようなコミュニケーションの場を用意することが効果的です。
- チーム全体で動いているという意識
ボードゲームを活用したオープンコミュニケーションのトレーニング
ここまでご説明した通り、オープンコミュニケーションを実現するためには「目標の共有」「主体性」「チームとして成果をだすことへの意識」そして「そこに至る慣れ」が必要であるとしました。
しかしながら業務を粛々とこなしながらそのような機会を用意するのはなかなか難しいことです。
そこでボードゲームがそのトレーニングとしての役割を果たします。
ボードゲームは、研修という場だとしてもメンバーが業務や課題と違い、コミュニケーションの壁を自然に低くするのに役立ちます。また、ゲームの進行の中での議論などを通じ互いにもっとよく知り合う機会を提供します。
ボードゲームの導入方法
ボードゲームをチームビルディング研修として導入する際は、次の点に注意してください。
- 選択するゲーム
- 協力型ゲーム
オープンコミュニケ―ションのトレーニングという目的から、手の内を隠しあうことが目的なような対戦型ゲームよりは、協力型ゲームである方が好ましいです。 - プレイ人数
ディスカッションを主眼に考えるとプレイ人数が少なすぎるとディスカッションが活発にならず、多すぎると研修に収集がつかなくなる可能性があります。ゲーム人数は4人ほどが良いかと思います。
- 協力型ゲーム
- フィードバックの促進:
単にゲームをプレイして楽しい、で終わらせるのでは効果が薄くなります。セッション後、参加者からのフィードバックを求め、講師がファシリテートしつつ体験を振り返ります。
ボードゲームの例
株式会社サーカスでは協力型ボードゲームを用いた研修をご用意しています。
「魔王を倒す」というプロジェクトを遂行するために4人1チームとなって、協力するゲームです。
共通目的を遂行するためのオープンコミュニケーションの必要性はもちろん、計画を立てることや状況に対処するためのリスク対応などを学ぶことができます。
無人島からの脱出をするために、4人1チームとなって協力するゲームです。
チームメンバがそれぞれ生き残るために必要な活動と、無人島から脱出するために協力して資材を集める活動。そして集めた資材を使ってどう脱出するか等の創造的要素のトレーニングが可能です。
弊社が用意するパッケージゲームではなく、ゲーム自体を作っていこうというプロジェクトになります。ゲーム作成にあたってのサポートは弊社で行いますので、自社についてのリサーチやゲームの仕様を計画する研修となります。
プロジェクトを遂行するにあたってオープンコミュニケーションが醸成されるのはもちろん、自社についてリサーチすることが主題のプロジェクトなので会社へのエンゲージメント向上につながります。
まとめ
ボードゲームによる取り組みは、チームマネジメントにおけるオープンコミュニケーションを促進する効果的な方法です。これは、メンバー間の関係を強化し、協力的な環境を構築するのに役立ちます。ゲームを通じて、チームはコミュニケーションの障壁を乗り越え、より強固な絆を築くことができます。